職場でも家庭でもない、「第3の場所」におけるシニアの「時間消費」の対象としてよく話題に上る場所に、カルチャーセンター・カラオケ・フィットネスクラブが挙げられる。中でも、フィットネスクラブは、巷間目にすることも多く、大いに肯えるのではあるが、その実態を数字で見れば、興味深い事実が浮かび上ってくる。
図1 フィットネスクラブ会員数の年齢別構成比の推移
図1はフィットネスクラブ会員数の年齢別構成比の推移を示したものだが、平成15年から24年の10年間で、30歳以下の会員が漸減。それを補填するように60歳以上の会員が漸増していることが経産省のデータで明らかになった。平成24年では、60歳代以上の会員は全体の2割強というところだ。
これがこと使用料で見ると、様相が異なってくる。スポーツクラブへの支出金額全体のシェアは、世帯主年齢60歳代以上で6割に迫る、57.5%にも上っているのだ。必ずしも世帯主が使用しているとは限らないことを若干割り引いても、2割強のシニアが6割近くの売り上げに貢献しているのだ。(図2)
図2 「スポーツクラブ使用料」支出金額全体に占める世帯主の年代別シェア
当然1世帯当たりの年間支出金額も60歳代が圧倒的に高くなっている。(図3)
図3 世帯主の年齢階級別「スポーツクラブ使用料」(二人以上世帯、24年)
団塊の世代を対象とした内閣府の調査によれば、自身の健康認識として、「とても健康である」「まあまあ健康である」と回答した人は、全体の8割近くに上っている。(図4)
図4 自身が健康であるという認識(団塊の世代対象)
この数字と歩調を合わせるように、年齢階級別にみたスポーツの行動者率は、65~74歳の年齢層でピークを迎えている。(図5)
図5 年齢階級別行動者率(スポーツ)
「女性だけの30分ダイエットプログラム」でおなじみのカーブスは、全国で1500店舗の運営規模に達した。ある店舗の顧客層は、50歳代以上で9割を占めるという。業界最大手のコナミでは、2013年から、60歳以上の運動入門者向けスクール「OyZ(オイズ)」の展開をスタートさせた。「ロコモティブシンドローム予防」をスローガンに、一方で潜在的な健康不安にも訴えている。
高齢化がますます進む中で、対症療法ではなく、予防医学的な見地からのサービスがますます必要とされてくることは論を待たない。
日本SPセンター シニアマーケティング室 中田典男
2024年5月22日
2023年11月14日
2023年7月26日