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当世シニア「おひとりさま」事情(上)

平成27年国民生活基礎調査によれば、全国約5,000万世帯のうち、4分の1が高齢者世帯で占められている。(図1.)
全人口における高齢者人口比26.7%にわずかに及ばないものの、65歳以上(及び18歳未満の未婚者が加わった場合を含む)の者のみで構成されている世帯が1,200万超もあるという事実は改めて驚きである。

図1

中でも大きな存在感を示しているのが、高齢者単独世帯。高齢者世帯の約半数を占めていて、夫婦のみの世帯をすでに上回っている。全国全世帯のなかでの構成比に換算してみると、12.3%が高齢単独世帯が占めている。つまり8世帯に1世帯、向こう3軒両隣+裏の2軒の1軒が該当する、とても身近な存在になってきているのである。
高齢者単独世帯は平成に入ってから年々増加し続けている。(図2.)平成元年比で3.92倍とおよそ4倍に、ここ20年間の平成7年比で2.84倍と約3倍に。この増加傾向は留まることを知らないようにも見える。

図2

この高齢単身者に対して、内閣府がその生活ぶりと意識、意見を面談、聞き取りの上調査した興味深いデータがある(一人暮らし高齢者に関する意識調査)。
この調査結果からは、従来のやや暗く、地味な印象のある「老後の独居」ではなく、アクティブな「おひとりさまシニア」の新しいイメージが立ち上がってくる。
本コラムでは、その興味深いデータのいくつかをご紹介してゆく。

図3

おおよそのイメージを掴みやすいようにまずは、生活満足度から。(図3.)
全体集計でみれば、「満足している」という回答が全体の80%、「満足していない」という回答が20%。現状の一人暮らしを肯定的に評価している方が圧倒的多数派を占めている。
男女別に見れば、男性より女性の方が生活満足度は際立って高い。一方、年齢層別に見れば、意外なことに前期高齢者より後期高齢者の単身者の方が、満足度が高いという結果になった。

図4

生活満足度に関連する面白い設問が「退屈と感じることが、よくあるか」どうか。
全体集計でみれば、4人に1人は「退屈と感じている」ことになる。この数字は生活満足度をやや下回っている。全体としては満足だが、それでも物足りないところがあるという、微妙な心のあやに拠るものであろう。
男女別に見れば、「退屈を感じる」男性は女性の1.5倍に上り、これも際立った差となっている。一方、年齢層別にみれば有為な差は認められなかった。

図5

退屈せずに済ますには、「外出」が手っ取り早い手段だが、これについての設問も用意されている。
図5.は「家の中にいる方が好きかどうか?」を問うたもの。全般的には「家の中にいる方が好き」と答えた方が全体の60%を占めている。
これも意外(?)なことに、女性の方がインドア派である。男性でインドア派が少ないのは、「家に居てもやることがない」のかもしれない。

図6

図6.は、希望する外出頻度を問うたもの。どのセグメントでも週に4~5回以上が過半数を占め、アクティブな様を裏づけている。とくに男性では「ほとんど毎日外出したい」という方が他を圧倒している。(続く)

日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男