先日、7月26日に総務省が住民基本台帳をもとに令和5年1月1日現在の日本人の人口を発表した。それによると、国内に住む日本人の人口は1億2242万3038人、外国人を合わせた総人口は1億2,541万6,877人となった。増減では昭和43年以降、平成18年に初めて減少し、平成20年、21年と増加したが、平成22年から14年連続で減少し、対前年減少数及び対前年減少率は最大であった。
国内に住む日本人の自然増減数(出生者数-死亡者数)は、-79万3,324人。出生者数は、77万1,801人。調査開始(昭和54年度)以降最少となり、死亡者数は、156万5,125人と調査開始(昭和54年度)以降最多となった。死亡者数が多いのは新型コロナ感染症による死亡が多かったことが影響している。
日本人住民の年齢階級別人口を見ると、年少人口(0~14歳)は1,447万5,473人で、調査開始(平成6年)以降毎年減少している。生産年齢人口(15~64歳)は59.03%、7,226万2,175人で、こちらも平成7年を除き、毎年減少。老年人口(65歳~)は、3,568万5,383人で、調査開始(平成6年)以降初めての減少に転じた。総人口が減少しているので高齢化率は29.16%に上がっている。
そこに外国人住民を含めると28.62%とやや緩和される。グラフを見れば外国人はその8割以上が生産年齢人口である。これまで日本では外国人労働者の存在は目立たないのものであったが、今では農業や工場生産の現場では欠かせない存在になりつつある。
日本人の生産年齢人口が減り続けていることに関して、リクルートワークス研究所がまとめたレポート「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」によると、2040年には1100万人の労働供給が不足すると予測。大きな注目を浴びている。レポートの中で、その解決策として4つが上げられているが、そのうちの一つが「シニアの小さな活動」である。
詳しくはリクルートワークス研究所の「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」
https://www.works-i.com/research/works-report/item/forecast2040.pdf
を参照いただきたい。
以前、このレポートをまとめた主幹である、リクルートワークス研究所の坂本貴志氏の「本当の定年後『小さな仕事』が日本社会を救う」を「シマ研の本棚」で紹介したが、同著の中「シニアの小さな活動」について詳しく説明されているので合わせて紹介させていただく。
https://nspc.jp/senior/archives/17047/
今では60歳の定年を迎えても、そのまま引退する人は少なく、65歳まで雇用形態は違えども働き続ける人が大半である。今後は65歳を超えても仕事の負荷を減らして「小さな仕事」で70歳、75歳まで働くことができれば、これからの労働力不足に対して貢献できる。その場合はこれまでとは違った環境で働くことになるが、そこで注目したいのが「通勤時間」である。
働き盛りでは子育てのために郊外に家を建てたりして、多少通勤時間が長くなっても、そのために転職するということは仕事のキャリアを考えてもなかなか難しい。「通勤地獄」という言葉がある。長時間の通勤は睡眠、家族との時間、そして体力を奪う。総務省の「令和3年社会生活基本調査」によれば、サラリーマン(雇用されている人)の通勤所用時間を年齢階級別にみると72~77分である。退職年代である65歳以上で初めて少し減るが、それでも64分と1時間を超えている。
とくに関東南部や近畿圏では通勤時間が長い(全世代)神奈川県では1時間40分。平均時間なので2時間を超えている人も多いと想像できる。
こうした通勤時間を現在の65歳の64分を30分にできれば、毎日30分のゆとりが生まれる。時間のゆとりだけではなく、歩いてや自転車にすれば通勤地獄の忍耐ではなく、季節の移ろいも感じながら心のゆとりも手に入れることができる。
また地元の職場に勤めることで、地域のコミュニティへの参加が容易になる。地域のコミュニティに参加することで、シニアが自身のスキルや経験を生かし、地域社会に貢献できる機会が増えることになる。そのことでシニアが社会とつながりをもちつつ、自身の価値を再認識することが可能となる。
このようにシニアが地元で「小さな仕事」につくことをサポートするビジネスも考えられる。例えば
1)スキルシェアリングプラットフォームづくり:シニアが持っているスキルや経験を活用できるプラットフォームを提供することで、ビジネススキルから料理、手芸、園芸などの趣味まで、様々な知識を共有し、活用することができるようになる。
2)シニア向けコワーキングスペースの運営:シニアが社会参加を続けられる場を提供する。ここでは、地域のコミュニティ形成、スキルシェアリング、新しい活動の提案などができるようになる。
3)在宅勤務支援サービス:究極の職住接近としてシニアが自宅で働くためのサポートを提供するサービス。例えばオンラインでの業務支援、在宅勤務に必要なデジタル環境整備などが含まれるだろう。
4)シニア向け就労支援サービス基盤づくり:シニアが「小さな活動」を見つけるための支援を提供する。すでに千葉県柏市での「GBER」というシニアの個人個人のニーズに合わせた仕事やイベントのマッチングサービスが始まっている。これには、求人情報の提供、関心分野との最適化、スキル向上のための教育プログラムなどを含めることも考えられる。
労働需要がますます引き締まってくる中で、シニアが「小さな仕事」を住んでいる近くで見つけることは難しくなくなるだろう。日本の労働力不足を救うためのシニアの活躍には「職住接近」というアプローチが欠かせないのではないだろうか。
※このコンテンツは株式会社日本SPセンター シニアマーケティング研究室の倉内がAIアシスタント(CHAT-GPT4)との対話により作成を試みた。
2024年2月8日
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