プレシニアのスマートフォンの活用実態、最終稿の本稿では、スマートフォンの機能の何割ほどを使いこなしていると思うか? 各人の認識を明らかにした。下図、図11.はその全体傾向だ。
全体で最も多数派を占めたのが、「半分くらい」という回答。38.9%と4割近くを占めている。それでも、決して圧倒的に突出した数字ではない。2番目の多数派「3割くらい」の25.4%、3番目の「7割くらい」が17.8%と、拮抗とは言えないまでも、順当に分布していることがわかる。一方で「全部」、「7割くらい」と回答したのは、合計で19.5%とほぼ2割。この2割を除いた80.5%、つまり、5人に4人までが、「全機能の半分以下」くらいしか使っていないと認識していることになる。意外に控えめな数字ではある。
性別・年齢階級別の4つのセグメントごとに際立った違いはあるのだろうか? 図12.は、50~54歳男性の認識だ。全体傾向と比べて、目立って高いのが、「全部」、「7割くらい」という回答の合計で、26.0%。「剛の者」の割合は4人に1人で、全体傾向の19.5%(約5人に1人)を大きく上回っている。前稿の設問で、当該セグメントでは、「特定の目的のために必要なツールとして捉えている率が4つのセグメントの中で、最も低い」ことを指摘した。このデータも同じく、このセグメントのスマートフォンのマルチユース傾向を裏付けていると言える。
同じ年代の女性はどうだろうか(図12.)? 「3割くらい」・「1割以下」・「ほとんど使っていない」という使いこなしに消極的な回答は、50~54歳男性で、39.3%、同女性で39.4%と拮抗した数字になっている。差が出たのが、「全部」・「7割くらい」を合計した7割以上という回答。50~54歳男性は26.0%なのに比べ、同女性のセグメントでは、16.3%と10%もの差が付いている。この差を「半分くらい」という回答の増加で埋めている格好になる。シングルタスクが多い傾向ある女性の「スマホ観」が、このデータからも垣間見える。
55~59歳男性では、他のセグメントには見られないユニークな特徴が見られた(図14.)。「1割以下」という回答率が4つのセグメントの中で最も高く、18.5%にも上っていることだ。他の3つのセグメントがいずれも10%台であることを考えると、当該セグメントの特異さがわかる。前稿で「とくになくても困らない」という回答率が、当該セグメントで最も高いことを指摘した。55~59歳男性は、他のセグメントに比べ、どうやら、使いこなしに消極的であるらしい。
最後に55~59歳女性のデータを見ることにしよう(図15.)。当該セグメントでは、同年代男性と異なり、使いこなしに消極的ではない。その裏付けになるのが、「3割くらい」・「1割以下」・「ほとんど使っていない」を合算した、「3割以下」の数字。55~59歳男性では47.7%と半数近くに上るが、同年代の女性では、39.9%と4割を割り込んでいる。前稿の設問「とくになくても困らない」では、男性が女性のダブルスコアになっていることを考え合わせても、使用に対する積極性が感じられる。
以上、微に入り細に入り、全体と4つのセグメントのデータを3つの設問で追ってみた。共通して言えるのは、50歳代と全体をひとまとめにすることの危険性である。デジタルが社会に浸透し始めた第1世代であっても、スマートフォンとの遭遇は、一定の年月を経てからのことである。それだけに、過渡期ならではの多様な意識、そして使われざまも垣間見えたように思う。
株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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