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シニア=ボランティアのイメージは誤りか?

  • 2021年7月29日

 シニアの代表的なイメージの一つとして、よく取沙汰されるのが、地域密着型活動やボランティア活動に勤しむ姿であろう。世間で見かけることも多いので、ついついそんな連想が働いてしまう。でも、実際はどうだろうか? 地域とのつながりの意識をひも解くことから始め、活動への実際の参加率を概観してみることにしたい。性別、年齢階級別に比較すると、意外な事実も浮かび上がってきた。データはすべて、令和元年国民健康・栄養調査(厚生労働省)に拠る。

 まずは、地域における扶助やつながりの強さを年齢階級別に見てゆこう。図1.は、地域で互いに助け合っていると思うかどうか、図2.は、地域のつながりが強いと思うかどうかを尋ねたものだ。おそらく大方が想像する結果通りになったのではなかろうか? 即ち、年齢階級が上がるほど、地域における助け合いやつながりの強さを感じている人の割合が高くなっている。とくに「つながりが強い」と感じる人の割合は、年齢階級の上昇と完全にシンクロしている。

 一見きれいな相関関係に見えるものの60歳代と70歳以上、両者の間にはかなりの隔たりがある。2つのデータに共通して言えることだが、両者には10%を超える差があるのだ。一方で、30歳代、あるいは40歳代と60歳代では、それほど大きな差は見られない。60歳代ではまだ多くの人が、現役で働いているか、もしくは現役の延長線上で働いている。ことに男性に顕著だと思うが、本格的な地域デビュー、地域回帰が進むのは、70歳を超えてから…ということになるのが、現状だと言える。

 意識レベルではなく、実際に地域の活動に参加している人は、どれほどの割合で存在するのだろう。年齢階級と男女に分けてみると、図3.のような結果となる。意識レベルと実際の活動への参加には、少なからず乖離があった。地域での相互扶助やつながりを最も強く感じている70歳以上だが、実際の活動は60歳代の方が参加率が高い。もっとも、加齢による健康状態や体力面で、扶助を受けるたちなの方も多いと推察される。

 町内会や地域行事への参加率が最も高いのが、60歳代の女性で49.8%。次いで70歳代男性の49.3%。ほぼ半数が参加していることになる(因みに「参加している」とは、年に数回以上の頻度を指す。以下のデータも同様)。グラフを見てお分かりのように、地域行事への参加率は20歳代を除いて、年齢階級間、男女間で隔たりがないのが特徴だ。そして40歳代以上では、すべて40%台になっている。地域活動は決してシニアの専売特許ではないのが実情だ。

 災害ボランティアやツアーガイドなど狭義のボランティア活動への参加率は、地域活動より俄然低い値となる(図4.)。最も高いのが、70歳以上の男性だが、それでも21.3%と5人に一人ほどに過ぎない。次いで高いのが60歳代女性だが、18.1%と20%にも満たない。その低い数値の中でも、50歳代以降から少しずつ参加率は高くなっている。シニア優勢とは言えるものの、数字の上からはいずれにしても低調なのが、偽らざるところだろう。

最後に、グループ活動への参加状況を概観してみよう。図5.はスポーツ関係のグループ活動、図6.は趣味関係のグループ活動への参加率だ。いずれのグラフも、シニアだから、若年層だからという突出した結果は認められなかった。強いてあげるなら、趣味関係のグループ活動で、70歳代以上女性で30%と頭一つ飛び出していることぐらいだろうか?

 シニアと言えば、地域活動やボランティア、サークル活動というイメージがあるが、実際の参加率は思ったほど高くなく、しかもシニアに突出した現象でもないことがわかった。シニアへ社会参加を呼び掛けるムーブメントは、ある意味、正鵠を射たものとは言える。

   株式会社日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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