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何が変わり、何が変わらない? コロナ禍におけるシニアの環境変化とは?(中)

 図4.は1年間に「テレワークを実施しているまたは実施していた期間がある」かどうかを尋ねたもの。大方の想定内だとは思うが、女性より男性の方が割合が高く、高齢になるほどその割合は低くなる。ことに70歳代での落ち込みが極端だが、労働市場に残存する比率もかなり低くなる(※)ことからも、充分諾える数字ではある。(※ 70~74歳男女計就業率:32.5%、75歳以上男女計就業率:10.4% 労働力調査2020年平均結果より)

 そんな趨勢の中で、特筆すべきは60歳代男性のテレワーク経験率の高さだ。労働力調査2020年平均結果によると、60~64歳男性の就業率は、82.6%、65~69歳では、60.0%。その中で14.6%のテレワーク経験率は、注目すべき数字とは言えまいか? 実際60歳代男性からは、「コロナで週2回ほどのテレワークになったが、コロナが収束しても続きそう。」、「生産性を挙げるために、個々に適した働き方を選択するようになる。一様にオフィスで働くのは非生産的」(当研究室自主調査結果より)と肯定的に捉えている声も多かった。

 一方女性では、ことに50歳以上で男女間の開きが目立っている。当研究室の自主調査の結果からも、「対人の仕事の人には関係のないこと」、「テレワークは人間関係がうまくできない気がする」など、懐疑的な声が目立った。現場で対人が必須の仕事に従事しているケースが多いということもあるだろう。

 図5.は、「自炊する機会が増えた」かどうかを尋ねたもの。つまり、「外食・中食が減った」かどうかを問うものである。目を引くのは、20~30歳代の女性で、ともに30%に近い。全体平均では15.7%なので、ダブルスコアを記録している。

 一方、年齢階級が上がるほど、食生活における環境変化を感じる人は少なくなっている。最もスコアが低いのが、70歳代男性で、わずか6.6%にすぎない。全体平均の約半数ほどだ。全年齢階級を通じて、男性の方が女性より低い数値になっているが、70歳代女性では、10%と平均を下回っている。男女間の差が小さいのも、70歳代の特徴の一つになっている。

 図6.は、「趣味を楽しむ時間が増えた」かどうかを尋ねたもの。若年層と高年齢層で高く、中高年が少し落ち込むM字カーブを描いている。それぞれの年齢階級において、男女間にほとんど差が認められないのも、この設問の大きな特徴になっている。

 全体の平均は15.5%。それを上回るのは、20歳代の男女、30歳代の男性、60歳代の男性、70歳代の女性の5つの年齢階級である。比較的時間の融通が利く年代が高い回答を示している。

 もっとも、この傾向が数年来継続する趨勢の土台の上に成り立っているのか、それとも、新型コロナ下での一時的な現象かは、この数字だけでは読み取れないが、おそらく土台があって、それがコロナ禍による自粛生活等で、幾分増幅されてきたとみるのが妥当ではないだろうか?

   株式会社日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男


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