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同居介護の3例に1例は、介護者も要介護者も後期高齢者(上)

国民生活基礎調査は、世帯構造や所得、健康状態などを把握するために厚生労働省が毎年実施している、基幹的な調査の一つだ。そのうち3年に一度は、介護や健康状況に踏み込んだ、大規模調査となっている。7月に公表された、2019年(令和元年)の調査は、その大規模調査の年に当たった。

「データの小窓」のシリーズでは、ごく初期に前回の大規模調査の結果を踏まえた、老老介護の考察を行った。その中で増加の一途をたどる老老介護のリアルに言及したが、今回の考査結果からは、その増加スピードが全く衰えず、介護し、介護される組み合わせ年齢も、前回よりさらに高齢化している現実があきらかになった。本稿では、最新の国民生活基礎調査から、最前線の具体的な数字をレポートする。

図1.は、要介護者の年齢階級別の構成割合を、時系列で追ったもの。大規模調査の年次に合わせて、3年刻みの推移で見ている。

介護保険制度が始まった2000年(平成12年)以降、要支援・要介護者の大半は、75歳以上の後期高齢者によって占められていて、その割合は常に漸増傾向を示している。制度開始直後の2001年(平成13年)には、すでに77%。それが、直近の2019年(令和元年)には約86%にまで上昇している。18年間、7回の調査を経て、約9%もその比率が伸びているのである。

年齢を10歳引き上げて、85歳以上の構成割合で見ると、その伸び率はさらに顕著で、13.4%にも上る。。2001年(平成13年)時点では、35.9%。要介護者等の3人に1人が85歳以上だったわけだ。それが、直近の2019年(令和元年)には、49.3%と、およそ2人に1人が85歳以上。文字通り、介護の超高齢化に直面しつつあるのが実態だ。

前回調査(2016/平成28年)と比べて目を引くのが、90歳以上の伸び。20.5%から24.2%という伸びは、90歳以上が、5人に1人から、4人に1人に達したということでもある。わずか3年を経てのこの変化は、まさに、介護の超高齢化を象徴していると言えるのではないか?

図2.は要介護者等の年齢階級別分布を男女別に見たもの。ここでも目を引くのが、90歳以上の女性で、構成割合はなんと28.6%。全年齢階級で最大の値となっている。因みに前回調査(2016年/平成28年)は、24.3%だったから、3年間で4.3%での伸びを示した。一方男性は、15.8%に過ぎない。同じく前回は13.2%だったので、3年間の伸びは2.6%。このようなファクトから、90歳以上女性墓要介護者等の中で、極めて突出した存在になってきていることがわかる。

後期高齢者の75歳以上という区切りで見れば、男性は約77.8%、女性では89.6%を占めている。前回調査では、それぞれ77.1%と87.3%。やはり女性の方が弾性に比べて介護の超高齢化に拍車がかかっている。

一方、介護する側、即ち、介護者の男女別に見た年齢階級別の割合は、どうなっているのだろう(図③.)。前提として押さえておきたいのは、全介護者の中で女性の占める割合が高い(65%)こと。良かれ悪しかれ、介護とは女性に大きな負担を強いる役割であることは間違いない。

男性と女性で傾向は若干異なるものの、60歳以上の介護者が両者とも70%を超えている。また、男性も女性も最もウェイトの大きい年齢階級は60歳代だ。

男女で異なるのは、男性では80歳以上の介護者が全体の22.8%を占めていること。女性のそれを10%以上も上回っていることだ。この傾向は、前回調査と比べて目立った変化があるわけではない。(下に続く)

   株式会社 日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男