最後に、シニアの運動のスタイルを見ることにしよう。調査では実施形態という硬い言葉を使っているが、誰と一緒に運動・スポーツを楽しんでいるかがわかる設問設計になっている。例によって、全体平均(10歳代以上)・60歳代・70歳代の比較から(図23.)。
3つのクラスターはほぼ同様の傾向にある。すなわち、「個人で自由に」運動・スポーツを行う人が圧倒的に多い。次いで(大差を空けて)、多いのが「家族と」という選択肢になっている。
世代間で特徴が出たのが、「地域の友人と自由に」という選択肢。60歳代が全体平均とほぼ同じスコアなのに対して、70歳代が大きく図抜けた結果となった。
項目別に50・60・70歳代各男女、6つのクラスターで比較してみよう。まずは「個人で自由に」という項目から(図24.)。
すべてのクラスターで非常に高いスコアとなった。最も高いのが60歳代男性で、84.5%。一方、最も低い70歳代女性でも72.4%。残りのクラスターはこの範囲内に収まっている。「個人で自由に」行う実施形態は、老若男女から圧倒的な支持を受けていると言える。
「家族で」運動・スポーツを実施した人は、「個人で」に比べると圧倒的に少ない。最もスコアの高い50歳代女性においても23.4%、最も低いのが50歳代男性で13.0%。同じ50歳代でも男女間で大きく異なる意外な結果となった。
男性と女性では傾向が異なるのが、この項目のもう一つの意外な点。男性では、年齢階級が上がるにつれて、スコアも高くなるが、女性は逆に、年齢階級が上がるほど、スコアは低くなってくる。
図26.は「民間の会員制スポーツクラブで」という選択肢。スポーツクラブに行くと、年配の方々が多いので、錯覚しがちだが、意外にも多くはない。
男女別では女性のスコアが高く、ことに60歳代女性では、20%近くになっている。これは大方の人のイメージ通りだろう。一方、男性のスコアはおしなべて低い。最も高い70歳代でも、9.2%と、軒並みひと桁の数字になっている。
図27.28.はどちらも、職場関係の実施形態。マーケットサイズとしては、さすがに小さいが、70歳代でも、5.6%(男性/図28.)と一定数存在しているとは、ある意味で驚きだ。ワーキングシニアが増えてゆくにつれて、このスコアは徐々に上がってゆくとみてよい。
㈱日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
2024年3月11日
2023年9月12日
2023年6月5日