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元気な高齢者の共通点に気づいて始めた
介護保険外支援が、グループ発展の芽を育む

前田 稔氏
NPO法人ふれあい 副理事
株式会社ぽぷら 本部長
前田 稔氏

 私たち「ふれあい」は、調剤薬局をはじめ在宅介護サービス、高齢者向け住宅を手掛けている「株式会社ぽぷら」が立ち上げたNPO法人です。
 スローガンは「ふれあい ささえあう まちづくり」。
 「人と人とのふれあいを通じて、明るく楽しい気持ちになる、そして自然に笑顔がこぼれるまちをつくりたい。誰もが役割や生きがい、自分の居場所を感じられ、安全に安心して生活できるまちをつくりたい」という思いで設立しました。

 始まりは、元気な高齢者に共通しているのは『活動的な生活を送っていること』、『日々の習慣や役割を持っていること』、『少しでも社会の役に立とうとしていること』等に、ぽぷらの代表者をはじめ、介護福祉士やケアマネジャーなど、長年高齢者支援に携わってきたメンバーが気づいたこと。地域で、元気な高齢者が支援を必要とする高齢者をサポートできる仕組みと活躍の場を作ろう。多くの方がやりがいや生きがいを感じられる、いつまでも元気でいられることを支援しよう。との思いをもとに有償ボランティアの事業をスタートしました。

誰もが「したいことをできる」
よりよい暮らしをお届けする

 具体的な支援は掃除や買い物、通院の付き添い等が多いのですが、内容は多岐にわたります。たとえば移動支援ひとつとっても、障がい児のスクールバス乗り場への移動、趣味の麻雀を楽しむため麻雀屋までの移動、大好きなコーヒーを堪能するため喫茶店までの移動など。利用者様が大切にしておられることを満喫して、少しでも充実した生活が送られるように、様々な相談に柔軟に対応しています。

※上記はイメージです。

 こうして地域の要望に応じて支援できるのは、暑い日も寒い日も訪問してくれるボランティアさんのおかげ。私たちは日々ボランティアさんに感謝の気持ちを言葉や食事会の開催などで伝えることに努めています。一方で、ボランティアさんからは「支援を通じて勉強させてもらっている」「利用者さんが待ってくれているので休む訳にはいかない」「体調に気をつけている」「人の役に立っていると感じられて幸せ」など、活動への参加から得ている価値についてお聞きします。
 参加している方々に前向きな意見、心地よい感情、健康に対する意識が生まれている様子で、活動を始めて良かったと強く感じています。
 そんな志の高い、優しいボランティアさんによる支援なので、年々相談数が増えており、おかげさまで支援回数は年間1,000回を超えるようになりました。「利用して良かった」、「また来てほしい」といった利用者様の声が評判を呼んでいるようで、これまで地道に支援を重ねてきた成果だと感じています。

介護保険認定までの時間と既存サービスの価格課題で、
生活支援の要望は増加

 相談が増えている背景には、介護保険制度改正の影響もあります。例えば、介護予防・日常生活支援総合事業が始まり、要支援の方が訪問介護を利用するにあたり仕組みが変わったことで、それまでのようにすぐ利用したくても利用しにくくなり、すぐに支援が必要な方は介護保険外の生活支援サービスを利用せざるをえない状況があります。

※上記はイメージです

 また要介護認定の申請から認定結果が出るまでに一定期間以上の日数を要するケースが増えています。介護保険法では申請日から30日以内に認定結果を出すことが明記されていますが、30日以上かかるケースがあり、認定結果が出るまで介護保険外サービスを利用して生活を成り立たせることもあります。 
 しかし介護保険外の生活支援サービスは1時間2,000円以上かかることが多く、利用したくても経済的に負担が大きくなるため、利用したくても利用できない、あるいは回数を制限しないといけない場合があります。
 一方、「ふれあい」の有償ボランティアは1時間1,000円で利用可能。利用しやすい価格設定にしています。
 この価格は、有償ボランティアさんによるサービスであり、「ふれあい」自体では利益追求を行っていないから可能になっています。

誰もが健康に、わがまちで暮らし続けられる
仕組みが事業をつくり、育てている

 「ふれあい」は介護事業を行っている「株式会社ぽぷら」グループのNPO法人。株式会社がNPO法人を運営しているのは、役割分担できることが利点だと考えています。ふれあいの役割は、軽度者への生活支援、介護保険対象外の生活支援、介護保険認定結果が出るまでのつなぎ支援。ぽぷらの役割は、介護保険の生活支援、認定結果後の支援。

 介護保険制度は、本人の「自立」を支援する保険制度であるべきことがより厳格化されてきました。しかし生活支援を受けなければ自宅生活が難しく、施設などに入る必要が出てくる人もおられます。そのため支援を必要とする方のくらしには、介護保険制度だけなく地域の資源(医療、介護、生活支援、介護予防、住まいなど)が有機的にサポートすることが求められています。
ただ、現状は担い手が不足しているため、利用者の生活を支えるコーディネーター役のケアマネジャーが対応せざるを得ない事は少なくありません。
 昨今、介護保険で賄えない、タイミングや利用者の事情などからケアマネジャーが担当せざるを得ない場面(例:病院に付き添ったり、お米を買いに行ったり、本来業務以外の用事を引き受ける)が頻発しています。(国のケアマネジメントに関わる検討諸課題に関する検討部会における参考資料
こうした課題に対応するためにも、ふれあいの活動はぽぷらの事業を円滑にしてくれます。
具体的には、分担して活動を行うことで、以下のような利点があります。

①一人の利用者様を多面的に支援でき、情報共有しやすい、連携しやすい、 柔軟に対応しやすい。
②ぽぷらとしては将来の利用者様とつながり、信頼を獲得できる。
③ケアマネジャーが本業に専念できるように、本来の役割ではない部分をふれあいで対応しやすい。
④介護の専門職とボランティアの役割を分けることで人的資源を最大限活かすことができる。
⑤利用者・ボランティアさん等、たくさんの方と接することで、たくさんの声を聞くことでき、サービスの質向上につながる。本業の延長線上にサービスの幅を広げるヒントを得たり、新たなニーズ発掘、新たな事業を始めるきっかけになる(ネタの宝庫)。
⑥支援にあたる方々は定年退職した方々が多く、ボランティアなら気持ちが楽なので、気軽な立場で社会とつながり続けられる等、

 実は、上記の⑤や⑥のメリットは当初想定していませんでした。このように予定外の良い部分を見いだせていることも、有償ボランティアを始めて良かったと実感しています。
今後は新たな活動として介護離職の防止に貢献できる活動を始めていきたいと思います。高齢者も障害者も子育ての方も子供も誰もがいつでも必要な時に必要なサポートが受けられる地域づくりを広げていきたいと思います。

ぽぷらならではのトータルサポート

ふれあいの有償ボランティア事業が、ぽぷらグループのトータルサポート事業を
円滑にし、新たなニーズやサービスのヒントの発見につながる。
前田 稔氏
NPO法人ふれあい 副理事
株式会社ぽぷら 本部長

前田 稔氏

 大学卒業後、福祉用具販売の営業、ケアマネジャー、介護事業部統括責任者、高齢者住宅の立ち上げ・運営、NPO法人ふれあいの立ち上げに携わり、現在はふれあい副理事を兼務しながら、ぽぷらの法人本部に従事。

・寝屋川市ケアマネジャー事業所連絡会 副会長、大阪介護支援専門員協会寝屋川支部 副支部長、大阪社会福祉士会 北河内支部役員、寝屋川市地域ケア研究会代表、成年後見人として後見活動
・社会保険労務士・主任介護支援専門員・社会福祉士・精神保健福祉士・ヘルパー2級・実務者研修修了、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員