データ図表だけをチョイスし、
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2018年1月10日
前稿のアーティクルでは、3回にわたって、勤労世帯と総世帯の支出傾向の違いを見てきたが、両者の差異に焦点を当てたこともあり、高齢者を65歳以上という、漠とした捉え方にならざるを得なかった。が、当サイトで再三述べているように、シニアは決して一括りにはできない。
そこで、今回のアーティクルは、高齢者層を65~74歳、75~84歳、85歳以上と3つのグループに分けて、その差異をつぶさに見てゆくことにする。支出項目も前稿同様とした。また、煩雑さを避けるため、母集団は総世帯に限定した。出典は前回同様、「2016年 家計消費状況調査(総務省統計局)」に拠る。
図1.は、総支出金額。65歳以上という全体の括りだと、高齢者の支出の落ち込みは、75歳以上など、より高齢のグループが足を引っ張っているのでは? と、想像したくもなるが、後期高齢者層の総支出額は思ったほど落ち込んでいない。前期高齢者層ほどの旺盛な支出は見られないものの、意外に堅調であり、35歳未満の若年層をかなり上回っている。
世帯人員が縮小均衡する年代であることを考え合わせると、消費支出余力は高位安定していると言って良いだろう。
食費支出も総支出額と同様の傾向を示している。(図2.)高齢者層全体の数値を引き上げているのは65~74歳の前期高齢者層に違いはないものの、75歳以上の後期高齢者層が極端に落ち込んでいるわけではない。75~84歳、85歳以上の両グループとも、35~44歳の「子育て世代」を上回る食費支出をキープしている。
量的な食材支出は減少傾向にあると予想されるので、食の「質」へ支出価値を見出していることが推察される。
図3.は、「家屋に関する設備・工事・修理費支出金額」。高齢者を65歳以上という大きな括りにしたままでは見えてこないファクトが明らかになった。住居の維持管理に関する支出は、65~74歳から75~84歳にかけて一度落ち込んだ後に、85歳以上の年齢層で再び大きく増加に転じているのだ。
考えてみれば、同じ高齢者と言っても65歳と85歳では20年の開きがある。一度大きく手を入れた住まいも20年後にもう一度手を入れる必要が出てきたと考えられる。20年と言えば、まさにリフォームに再度着手する「適齢期」である。
赤ちゃんが成人するまでの時間と考えると、やはり長い。高齢期に入って二度、わが家に手を入れる…。これは、超長寿社会だからこその新しい需要現象と言えるかもしれない。
もちろん、加齢に伴って減少する支出もある。「自動車整備費支出」などはその典型と言えよう。(図4.)
65~74歳、75~84歳、85歳以上と段階的にガタンと減り、85歳以上の支出額は、65~74歳の約半分まで減少している。後期高齢者層に入り、クルマを手放す人も増えてきていることだろう。
逆の見方をすれば、85歳以上になってまだ「自動車整備費」が必要であることは、都市インフラの未整備の中で、クルマに頼らざるを得ない環境にある人が少なからず存在するという証左でもある。
85歳以上の「自動車整備支出」が限りなくゼロに近くなるのが、生活環境としては理想なのかもしれない。(下に続く)
日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男
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