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妥当か意外か。勤労高齢者の消費支出の特徴とは?(中)

(上から続く)
ここからは、選択的支出と言えるサービスへの消費を見てゆこう。
図4.は自動車整備に対する支出額。全年齢層を通じて、勤労者世帯が総世帯を上回っている。頻度、走行距離ともに勤労者世帯の方がよりアクティブであることは想像に難くない。

グラフの全体傾向は、総支出額(図1.)とほぼ相似形である。45~54歳のゾーンでピークを迎え、年齢層が高くなるほど低減するのも同じ。ただ、総支出額と比べ、65歳以上の勤労者世帯と総世帯の乖離がより甚だしいのが特徴的と言える。自動車整備費は、日常の使用頻度とある程度リンクしている。勤労者世帯では、外出行動が恒常的だという証でもある。

続いてモバイル通話使用料見てみよう(図5.)。ここで言うモバイル機器とは、スマートフォン・携帯電話・PHSの合計を指す。

支出グラフの形としては、総支出額、自動車整備費と同様。即ち、45~54歳のゾーンで支出のピークを迎え、以降は支出が低減してゆくパターン。ただ、それ以降の低減が比較的緩やかな自動車整備費などと異なり、55~64歳に掛れば急激に低下する。さらに、65歳以上ともなれば、垂直落下さながらの低下を示している。

50歳代と60歳代の間に深いデジタルキャズムが横たわっていることを以前のアーティクルでも指摘した。この低下傾向は使用頻度よりも「使うか使わないか」という、根源的な要因によるところが大きいだろう。

但し、その垂直に近い低下の中にも、勤労者世帯のアドバンテージは見て取れる。45~54歳のピーク時を100とした場合の総世帯、勤労者世帯のそれぞれの下げ幅は、総世帯が63%、勤労者世帯は52%と、10%程度の開きがある。
勤労者であれば、社用・公用の通信費はおそらくカウント外だろうから、この差は所有率以外にも、「使い慣れ」によるところが大きいと思われる。

「通話料金が多い」ことは必ずしも手放しで喜べることではないかもしれないが、勤労者世帯の方がモバイル機器を駆使して、より活発なコミュニケーションを取っている、とは言えるだろう。

図6.はスポーツ施設使用料の比較グラフ。
フィットネスクラブをはじめとするスポーツ施設は、シニア層の時間消費、コト消費の典型例として、なにかと話題に上る費目である。そのイメージ通り、スポーツ施設使用料は、年齢を重ねるほどに増加し、総世帯、勤労者世帯共に65歳以上でピークに達している。

この費目の特徴は、54歳以下のゾーンでは勤労者世帯が総世帯を上回り、55歳以上のゾーンでは、勤労者世帯が総世帯を下回っていることだ。ここまで見てきた費目は、すべて勤労者世帯が総世帯を上回っていた。逆の現象がここでは起きている。

この理由としては、可処分時間とゼロ・サムの関係であることも多少は影響しているだろう。だが、むしろ、比較的時間に余裕ができてくる55~64歳でスポーツ施設を使う、ポジティブなアクションが総世帯の使用料を引き上げていると見た方が実態に近いかもしれない。(可処分時間とゼロ・サムの関係に近い費目については、「下」でも見て行くことにする。)

日本SPセンター シニアマーケティング研究室 中田典男

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